【IPoE】IPv6はなぜ、IPv4より通信速度が速いのか?【v6プラス】
夜になると家のネットが遅い!
何でこうなるの?どうすればいい!?
v6プラスの回線に乗り換えて、IPoE経路を使おう。
ご自宅のインターネット速度に、ストレスや不満がありませんか?
大抵の場合、スマホ・PC・Wi-Fiルーター等の機器側が原因ではありません。
最大の原因は、IPv4(PPPoE)という通信方式にあります。
この記事ではIPv4(PPPoE) が遅い背景と、改善策であるIPv6(IPoE)についてまとめました。
目次
ネットが遅くなる背景
webコンテンツのデータ量増大
webコンテンツの情報量が、日々膨張し続けています。
一昔前までのwebコンテンツは、ネット掲示板や企業や個人のホームページなど主にテキストサイト。
ネット上でやり取りされる情報は多くはありませんでした。
しかし様々なwebサービスの台頭により、webコンテンツの情報量は増える一方です。
- youtube、Netflix、Amazonプライムなどの動画配信サイト
- Twitter、Instagram、TikTokなどのSNSサイト
- 大容量化するスマホゲーム
世の中のユーザーのニーズに合わせて、インターネットトラフィックも増大の一途です。
システムのクラウド化の進展
かつて企業は、自前の設備でシステムを構築していました。
これをいわゆるオンプレミス型のシステムと言います。
しかし、ここ数年はクラウド型のシステムが急激に台頭してきました。
特にAmazonが提供するAWS(Amazon Web Services)が性能や使い勝手の面で強力な力を発揮しています。
その評判と信用性の高さから、日本政府も官公庁のシステムにAWSの採用を決定したほどです。
クラウドサービスは、基本的にインターネット経由で提供されます。
裏を返せば、インターネットを介さなければ何もできません。
必然的にトラフィックは増大。
世の中全体のネットワークインフラにかかる負荷は高まる一方です。
スマホ普及による通信量の増加
過去のガラケー時代の通信されるコンテンツと言えば、ごく僅かな画像データやテキストのやり取りでした。
一方スマホの時代になると、youtubeやTikTokなどの動画視聴や高品質なスマホゲームも可能になりました。
結果として、スマホ経由のインターネットトラフィックが急激に増加。
また、これまでの一般世帯におけるインターネット利用は、せいぜい一台のパソコンからでした。
しかし現在は家族一人につき一台のスマホが常識です。
結果として、1世帯当たりのトラフィックは右肩上がりに増え続けているのです。
IPv4(PPPoE)
IPv4(PPPoE)通信の仕組み
一般的な家庭用のインターネット通信は、以下のような順で経路を辿って通信しています。
- 自宅のPCやスマホ
- 宅内のLAN環境(無線LANルーター等)
- 宅内のONU(光回線終端装置)
- NGN網(NTTの光回線網)
- ISP(インターネットプロバイダ)の設備
- インターネット網
- webサービスを提供するサーバー(Google、yahoo、Twitter等)
これまで広く使われてきたのは、「IPv4(PPPoE)」の通信経路となります。
「Internet Protocol version 4」のこと。
インターネットプロトコルは、インターネット上のコンピュータ同士がデータを送受信するための通信規約(ルール)。IPv4はその4つ目のバージョン。インターネットが普及し始めた20~30年前から現在でも使われている。
IPv4のルール下で利用可能とされてきたIPアドレスの総数は43億個だが、インターネットに接続する機器の増大によりその数では既に不足状態。より多くのIPアドレスが利用可能な「IPv6」への移行が進められている。
「Point-to-Point Protocol」のこと
インターネット普及初期の頃は、光回線ではなく電話回線を用い、インターネットプロバイダを経由して通信を行っていた。この際にプロバイダ側が、インターネットに接続してきたユーザーの認証に使っていた技術がPPP。プロバイダがユーザーに割り当てた「ユーザー名(ID)」と「パスワード」を入力して接続する。
電話回線時代のインターネット料金は現在のような定額制ではなく、利用時間に応じて料金が発生する従量課金制。このPPP認証により、ユーザーの利用時間と課金額も管理していた。
「Point-to-Point Protocol over Ethernet」のこと。
PPPをイーサネット(企業や一般世帯の内部的なネットワーク)上で利用可能とする技術。イーサネットはLANケーブルにて各機器を接続することで高速な通信を行う。
ADSLや光回線などのブロードバンド通信には、現在一般的にイーサネット接続を使う。しかし、イーサネットにはプロバイダ側でユーザーを認証するための機能がない。
そこでPPPの技術をイーサネットへ応用することで、ユーザー認証を可能としている。
実のところ、IPv4(PPPoE)の通信経路では全国的に速度遅延が頻発しています。
結論から言うと、「NGN網」と「ISP設備」が速度遅延の原因となっています。
IPv4(PPPoE)の問題
インターネット経路上では「NTTとプロバイダを繋ぐ装置」が足りず渋滞が発生。
NTTが光回線を集約する装置は網終端装置と呼ばれます。
通信は網終端装置とプロバイダの設備を経てインターネットに繋がります。
もしネットワークが混雑したらプロバイダがNTTに網終端装置の増設を要望します。
しかしNTTは簡単には受け付けません。
その理由は、増設するための基準が「ユーザーの数」であること。
「実際の通信データ量」ではありません。
一方現実に増大しているのはユーザーの数ではなく、ユーザー1人当たりの通信量。
結果的に網終端装置は増えずに、全体の通信量が増大し続ける状態です。
処理しきれない通信が網終端装置に滞留し、処理が遅れてネットが重くなるのです。
この状況を巡っては、関係各社間で何年も協議されています。
しかし今だ抜本的な改善に至らず、今後も解決は期待できません。
IPv6(IPoE)
IPv6(IPoE)経路の仕組み
「IPv6(IPoE)」とは、ここ数年で台頭してきた新型のインターネット経路。
「IPv6」と言われる、次世代のIPアドレスを使った通信インフラを利用します。
PPPoEと同様にNTTのフレッツ光回線を使うものの、接続先が別です。
その接続先は「VNE」や「イネーブラー」と言われます。
VNEの主要3社は以下の通りです。
- BBIX:ソフトバンク系列
- JPNE(日本ネットワークイネーブラー):KDDI系列
- MF(インターネットマルチフィード):NTTやIIJその他関係各社による共同出資のグループ会社
これに加えて以下の5社も参入しています。
- ビッグローブ
- 朝日ネット
- NTTコミュニケーションズ
- フリービット
- アルテリアネットワークス
IPoEの具体的な経路は、NTT光回線網⇒「ゲートウェイルーター」⇒インターネット。
PPPoEの混雑した網終端装置を回避することでずっと高速な通信が可能です。
例えば、私がPPPoEを使用していた頃の夜間のネットの速度は1Mbps程度。
youtube動画を低画質にしても、まともに見られません。
しかしIPoEに切り替えたら、夜間でも200〜300Mbpsと大幅な速度改善に成功。
最高画質でもストレスゼロで再生出来るようになりました。
IPv6(IPoE)が高速な理由
PPPoEとIPoEの違いを突き詰めると、「NTTが通信設備費用を負担するかしないか」です。
PPPoEでは網終端装置の増設費用をほぼNTTが負担。
もし通信量の増大に応じた基準なら、相当な数の網終端装置の増設が想定されます。
コストの増大により、網終端装置を増やすハードルは高くなります。
一方IPoEでは、ゲートウェイルーターの増設費用を全てVNEが負担。
NTTと調整する必要もなく、通信量に応じて機動的に設備増強が可能。
十分に増強された設備なら速度遅延は起こりません。
さらにVNEの装置は、通信の宛先に応じて自動的にIPv4とIPv6の通信を振り分けます。
具体的にはyoutubeなどのIPv6に対応するサイトと、まだIPv6に未対応のIPv4オンリーのサイトに振り分けてくれます。
IPv6を使うサービス
IPv6を使うサービスとして、JPNEの「v6プラス」が良く使われています。
主に以下のプロバイダが対応しています。
【v6プラス対応主要プロバイダ】
- @nifty (ニフティ)
- GMOとくとくBB
- DMM光
- So-net
v6プラスについて詳しくは以下の本をお読みください。
イネーブラーであるJPNE監修の元、v6プラスについて非常に詳しく解説されています。
まとめ
この記事では、ネットが遅くなる背景とその改善策についてご紹介しました。
NTTとプロバイダ間の網終端装置の費用負担の問題は、当面解決の兆しが見えません。
よって、IPv4のインターネット経路の改善を待つことは時間の無駄です。
ユーザー側で能動的に高速な回線に切り替える他に、現実的な手立てはありません。
そんな中、IPoEによる高速な通信は我々にとって非常に有用なサービスです。
NTTフレッツ回線を利用するなら、IPoEの利用を最優先条件として下さい。
現在はIPv4とIPv6を併用する過渡期。
今後IPv6への移行が進み、安価で高速なインターネットの普及を期待します。